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執筆者の写真昌親 谷

かくも長き不在

 「かくも長き不在」、それはマルグリット・デュラスが脚本に参加した映画のタイトルであり、戦争のせいで「不在」となった男の物語だが、ここでは、新作映画のことなどを定期的にblogに書くと言っておきながら、4か月ほども「不在」となった男のことだ。

 授業が始まれば忙しくなるのは覚悟していたが、今年から勤務先の授業が90分でなく100分になり、さらに、これは個人的な事情も関係しているが、授業用のスライドの作り方をこの際に変えようと思ったせいで、まったくと言っていいほど余裕がなくなってしまった。当然、blogに何か書く暇も気力もひねりだせない。

 それでも、Facebookのほうには少し書いていたが、そちらもすでに一か月以上ご無沙汰になってしまっている。

 そんな状況だったにもかかわらず、ある映画雑誌のレビューを担当することになってしまった。毎月4本の日本映画を観て、簡単な映画評を書かねばならない。すでに2回分書いたが、そこで扱った映画のうち、印象に残っており、すでに公開されたものを紹介しておこう。

 ひとつは宮崎大祐監督の『PLASTIC』。音楽好きの少年や少女たちを描いた青春映画を思って観ていると、そこからひと捻りががある。

 もうひとつは、熊切和嘉監督の『658km、陽子の旅』。タイトルのとおり、旅の物語だが、ロードムービーのヒロインに到底なりえないような女性がヒッチハイクの旅をすることになるのがおもしろいし、ひたすら北へ、北へと向かう陽子(菊池凛子)を描くだけで成り立っている映画という点も興味深い。最近、あまりロードムービーと出会っていなかったせいもあるかもしれないが、旅する人間の姿を見ているだけで心が動かされる。


 レビューのせいで日本映画を観る割合が増え、そのせいで、外国映画の試写会に行きそこねたりするのが哀しいところだ。

 しかし、とりあえず春学期の授業が終わったので、これからしばらくは、授業やレビューのためではなく、もっと自由に、自分のために映画を観る時間を作れそうだ。



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