top of page

かくも長き不在

  • 執筆者の写真: 昌親 谷
    昌親 谷
  • 2023年8月6日
  • 読了時間: 2分

 「かくも長き不在」、それはマルグリット・デュラスが脚本に参加した映画のタイトルであり、戦争のせいで「不在」となった男の物語だが、ここでは、新作映画のことなどを定期的にblogに書くと言っておきながら、4か月ほども「不在」となった男のことだ。

 授業が始まれば忙しくなるのは覚悟していたが、今年から勤務先の授業が90分でなく100分になり、さらに、これは個人的な事情も関係しているが、授業用のスライドの作り方をこの際に変えようと思ったせいで、まったくと言っていいほど余裕がなくなってしまった。当然、blogに何か書く暇も気力もひねりだせない。

 それでも、Facebookのほうには少し書いていたが、そちらもすでに一か月以上ご無沙汰になってしまっている。

 そんな状況だったにもかかわらず、ある映画雑誌のレビューを担当することになってしまった。毎月4本の日本映画を観て、簡単な映画評を書かねばならない。すでに2回分書いたが、そこで扱った映画のうち、印象に残っており、すでに公開されたものを紹介しておこう。

 ひとつは宮崎大祐監督の『PLASTIC』。音楽好きの少年や少女たちを描いた青春映画を思って観ていると、そこからひと捻りががある。

 もうひとつは、熊切和嘉監督の『658km、陽子の旅』。タイトルのとおり、旅の物語だが、ロードムービーのヒロインに到底なりえないような女性がヒッチハイクの旅をすることになるのがおもしろいし、ひたすら北へ、北へと向かう陽子(菊池凛子)を描くだけで成り立っている映画という点も興味深い。最近、あまりロードムービーと出会っていなかったせいもあるかもしれないが、旅する人間の姿を見ているだけで心が動かされる。


 レビューのせいで日本映画を観る割合が増え、そのせいで、外国映画の試写会に行きそこねたりするのが哀しいところだ。

 しかし、とりあえず春学期の授業が終わったので、これからしばらくは、授業やレビューのためではなく、もっと自由に、自分のために映画を観る時間を作れそうだ。



 
 
 

最新記事

すべて表示
アンデス山脈とサッカー——『雲と大地のはざまで』

映画の冒頭から画面に映し出されるアンデス山脈の雄大な景色が印象的だ。その景色を背景に、少年がアルパカの放牧をおこなっている。そして、その遊牧地に接して広がる湖は豊かな水をたたえているが、その水が採掘会社の進出で汚染されつつある。要するに、自然と文明、伝統と進歩のあいだの軋みという昔ながらの問題が、この奥地の村にも生じてきているのである。  スペイン語ではなく、ペルーの公用語の一つであるケチュア語を

 
 
 
『詩人iidabii』と『声をあげるということ』

あまり間隔をあけずに、2本のドキュメンタリー映画を観た。  一本は、いわゆる宗教2世であり、朗読詩人でもある人物を3年間にわたって取材した『詩人iidabii ある宗教2世の記録』。  もう一本は、2019年に性犯罪事件について無罪判決が続いて出たことに反発して起きた「フラワーデモ」や「#With You」の運動のなかで中心的な役割を演じた複数の人物を取材した『声をあげるということ——性犯罪 刑法

 
 
 
過去への変換装置としての映画——『メモリイズ』

冒頭はフェリーの船室の窓、そしてラストでは、寝室の窓が映る。冒頭のシーンの場合、窓からの景色はほとんど変わらないものの、窓の前に座っている人物が次々に変わっていく。一方、ラストでは窓の前には誰もいず、窓から風景が映るだけだが、その風景がそれぞれの季節を示すものにやはり変化していく。窓がスクリーンの比喩であることは言うまでもないが、しかもそこでの映像が、まったく同じ構図でありながら、部分的に異なるシ

 
 
 

コメント


© 2021 by MASACHIKA TANI. Proudly created with Wix.com

  • Facebookの - ホワイト丸
bottom of page